なぜそうなるか
英会話の契約をクーリング・オフするとき、何で知らせる?——国民生活センターは、はがきなどの書面のほか、メールや専用フォームといった電磁的記録でも通知できると案内していました
体験レッスンのあと、その場で長期のコースを申し込んだ。家に帰って金額を見直すと、やはり続けられそうにない。そんなとき頭に浮かぶのが、クーリング・オフという言葉です。
名前は知っていても、何で知らせればよいのか、はがきでなければいけないのかと、手が止まる人は多いはずです。電話で伝えるだけで済むのかも気になります。
途中でやめたときに請求できる額の上限は、前の記事で特定商取引法第49条から読みました。今回はその手前、契約してすぐの期間の話になります。
手がかりにしたのは、国民生活センターが公開している「クーリング・オフ」の頁です。制度の説明と、通知の出し方、残しておく記録までが1つの頁にまとまっていました。
あわせて、英会話のような継続的なサービスについて定めた特定商取引法第48条を、e-Gov法令検索で読みました。どちらも2026年9月27日の時点で読んだものです。
あなたの契約がクーリング・オフの対象に当たるか、期間の内に入っているかは、この記事では判断していません。条件によっては対象にならない場合があると、国民生活センターの頁も書いていました。
・国民生活センターの頁は、語学教室を8日間のクーリング・オフの対象として挙げている
・通知は書面(はがき可)のほか、電磁的記録でもできる
・通知に書く事項と、送ったあとに残す記録
・第48条は、解除の効力が通知を発した時に生ずると定めている
そもそも、英会話は対象になるの?
クーリング・オフは、訪問販売だけのものじゃないの?
制度そのものの説明は、こうです。
クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
期間ごとの表では、8日間の欄に「特定継続的役務提供」があり、その中身が括弧で添えられていました。
(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)
表の下には、同じ取引でも条件によってはできない場合がある、という注記が付いています。期間と金額の線は前の記事で読んだとおりで、ここでは繰り返しません。
8日は、いつから数えるの?
第48条第1項は、第42条第2項または第3項の書面を受け取った日から数えて8日を過ぎたときを除き、解除できるという書き方でした。国民生活センターの頁は、数え方について次の一文も置いています。
書面の記載内容に不備があるときは、所定の期間を過ぎていてもクーリング・オフできる場合があります。
何で知らせればいいの?
はがきでないと、だめなの?
頁の注記に、2022年の変更がありました。
2022年6月1日より、書面によるほか、電磁的記録でもクーリング・オフの通知を行うことが可能になりました。
電磁的記録の例は、次のとおりです。
電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体や事業者が自社のウェブサイトに設けるクーリング・オフ専用フォーム等により通知を行う場合が挙げられます。
同じ注記には、FAXでもできるとありました。条文の側も、第48条第1項の結びで、解除の手段を「書面又は電磁的記録により」と書いています。電話で伝えるだけの方法は、どちらにも挙がっていませんでした。
通知には、何を書くの?
決まった書式はあるの?
クーリング・オフの書面等には、事業者が対象となる契約を特定するために必要な情報(契約年月日、契約者名、購入商品名、契約金額等)やクーリング・オフの通知を発した日を記載します。
受講料をクレジットで払う契約にしていた場合は、宛先が2つになります。
クレジット契約をしている場合は、販売会社とクレジット会社に同時に通知します。
頁には、販売会社あてとクレジット会社あてのはがきの記載例もあります。
送ったあと、何を残しておくの?
出したことを、あとで示せるようにしたい。
はがきで出すときは、両面をコピーし、特定記録郵便や簡易書留のような発信の記録が残る方法で送るよう書かれていました。電磁的記録のほうは、こうです。
通知後は送信したメールや、ウェブサイト上のクーリング・オフ専用フォーム等の画面のスクリーンショットを保存しておきましょう。
保管の期間についても、頁の終わりに一文があります。
送付の記録や関係書類は、少なくとも5年間保管してください。
通知が届く前に8日を過ぎたら?
効力が生じる時は、第48条第3項が定めます。
前二項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除及び関連商品販売契約の解除は、それぞれ当該解除を行う旨の書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
基準は「発した時」です。届いた日ではない、という書き方でした。
クーリング・オフしたら、お金はどうなるの?
第48条第4項は、解除に伴う損害賠償や違約金の請求ができないと定めています。
第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除又は第二項の規定による関連商品販売契約の解除があつた場合においては、役務提供事業者若しくは販売業者又は関連商品の販売を行つた者は、当該解除に伴う損害賠償若しくは違約金の支払を請求することができない。
すでに受け取ったお金については、第7項に次の定めがあります。
役務提供事業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除があつた場合において、当該特定継続的役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、特定継続的役務の提供を受ける者に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
一緒に買った教材などの関連商品も、第2項で同じように解除できるとされています。ただし、使うと値打ちが大きく下がる品として政令で決められた物を使った場合は除く、という但し書きがありました。
よくある質問
事業者から「クーリング・オフはできない」と言われたら
国民生活センターの頁は、事業者ができないと言ったり脅したりして期間内にできなかった場合には、期間を過ぎてもできると書いていました。
何も書いていないメールを1通送るだけでいいですか
頁が通知に書く事項として挙げていたのは、契約を特定する情報と、通知を発した日でした。契約書面に通知先や方法が書かれていれば、それを見るよう頁は案内しています。
自分でやるのが不安なときは
頁は、対象になるか分からないときや書き方が分からないときは、近くの消費生活センター等に相談するよう案内しています。消費者ホットラインは188です。
この整理が変わる条件
- 特定商取引法や、その政令・省令が改正された場合(本記事は2026年9月27日に読んだ条文による)
- 国民生活センターが「クーリング・オフ」の頁を更新した場合(本記事は2022年6月1日更新の版を読んだ)
・国民生活センターは、語学教室を8日間の対象として挙げている
・通知は書面(はがき可)のほか、メールや専用フォームなどの電磁的記録でもできる
・書くのは、契約を特定する情報と、通知を発した日
・効力は通知を発した時に生ずる(第48条第3項)
・送った記録は、少なくとも5年間残す
出典
- 独立行政法人国民生活センター「クーリング・オフ」(2022年6月1日更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html
- 特定商取引に関する法律 第48条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
通知を出す前に、契約の書面にあるクーリング・オフの欄で、宛先と通知の方法を確かめてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: